2021年1月

一般に、先進諸国に比べると発展途上国におけるビジネス・エシックスの問題意識は、概して低調だと言われている。また、製造業を中心にわが国企業が空洞化を懸念されながら、グローバル化時代のサバイバル戦略として現地生産化を一層増大させる流れの中で、日系企業の経営が徹底した現地化を求められている。
 具体的には、現地の風俗、習慣、考え方などに即した経営を進めるためにも、①現地企業への権限委譲、②経営・管理者への現地人の登用、③現地資金の活用などをはじめ、いわゆる現地化政策を推進することに他ならない。…しかし、発展途上国の現地社会や現地人の価値観が先進諸国の経営倫理的価値観から乖離している場合には、前者を否定し後者を直ちに押しつけるのではなく、前者を後者へと徐々に時間をかけて誘導してゆくことが、求められていると思われる。