2021年2月

そもそも、経済の発展段階に応じて、経営倫理が変わるのか、それとも不変であるべきなのかという「経済発展段階と経営倫理」の問題は、グローバル時代にとって最も基本的な重要課題である。周知の通り、多くの発展途上国で、特に人権や無差別の尊重、賃金・労働時間などの改善などについての先進諸国を中心とする勧告や干渉に対して、かなり批判的であったり、強い反発を示す場合が多い。中国における天安門事件についての欧米先進諸国、特にアメリカを中心とした強い人権批判はあまりにも有名であるが、中国政府当局は内政干渉として反抗的な姿勢を強めている。欧米先進諸国の人権尊重を最優先とする価値観が、発展途上国において必ずしも充分に通じ難いことを示している好例である。