現代アーティスト新作も含む約400点
桜木町のみなとみらい地区にある横浜美術館で開館30周年を記念した展覧会「meet the collection――アートと人と美術館」が23日まで開催中だ。
横浜美術館のコレクションから選ばれた作品で、各章ごとに現代アーティストが一人ずつ、同展のために制作したものなども含め、400点を超える展示。
■注目は「平和」テーマの写真と映像作品
特に注目したいのは、同コレクションの中核の一つ、写真・映像作品。同館は、これまで「平和」「人権擁護」など、社会の根幹となる重要テーマを柱とするアピール力がある展示を行ってきた。今回は、そのコーナーでも「平和」をテーマとして、見る者に考えさせる優れた効果的展示がなされている。
今、人々が取り組むべき「大震災」、そして「スペイン内戦」、日米戦争の勝敗の結果として、両国の現実を鋭く切り取った作品などで、「戦争」という言葉すら口にするのも嫌悪すべきだという思いを改めて強くするだろう。現在のフード・ロスの日本からは想像もつかないような、かつての東京の姿を伝える師岡宏次、浜口タカシ作品や、報道写真の第一人者ロバート・キャパ、そしてアジア人として戦地ベトナムの人々に寄り添った視点の沢田教一。彼の最も有名な写真も見ることができる。
■管理社会への警鐘・トリエンナーレ2014
全体を通して所々に心を和ませ、横浜ならではの文化を感じさせる長谷川潔の版画なども配されている。岩崎貴広による〈Out of Order(コスモワールド)〉は、髪の毛、ほこり、布で構成されたミクロ・アートの世界を現出し驚異的だ。
空襲で滅んでしまった幻の名窯・横浜の眞葛焼(まくずやき)の秀作もわずかだが出品され、その雰囲気を偲ぶことはできるだろう。過去に開催された、その明治の名陶工・宮川香山による作品展は非常に素晴らしかった。
ダリ、マグリット、エルンストらのシュルレアリスムもコレクションの柱の一つだ。名作の画中人物になりきる作品で有名な森村泰昌氏がアーティスティック・ディレクターとなり、アメリカのSF小説家、レイ・ブラッドベリ作「華氏451度」に着想を得た、「ヨコハマ・トリエンナーレ2014」も管理社会への警鐘を鳴らし、同館を代表するものとして評価したい。 (陶)
- 会 期:6月23日まで開催中
- 休館日:木曜日
- 開 館:10:00~18:00
*金曜日・土曜日は午後8時まで*入館は閉館の30分前まで - 入館料:1,100円
(学生割引、シルバー割引あり=要証明、小学生以下無料) - アクセス:JR桜木町駅下車(歩く歩道)徒歩10分
- 問い合わせ:045-221-0300(代) (10:00~18:00木曜日休館)