三国志関連史料の見所を集め

日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」

 「三国志」への日本人の人気は、大変高い。小説をはじめ、現在では人形劇、漫画、アニメやゲームなどで広まっている。日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」が、東京国立博物館平成館で開催されている。

■曹操の墓発見、進む三国志研究

 今回の特別展では、2009年に発見された曹操高陵(墓)の発掘で、曹操関連の貴重な史料が多数究明され、その成果が展示された。会場内には、曹操墓の一部を原寸大で再現、関心を集めそうだ。曹操の墓からの出土品は、中国国外で初公開となるが、同時に中国各地の関連史料も展示されている。考古学調査の進展で、三国志研究が新たな局面を迎えているのを実感できる展示内容。

 日本での「三国志」普及は、戦中、戦後に広く読まれた吉川英治著の小説「三国志」によるところが大きい。国民的作家といわれた吉川の頂点に立つ大作だけに影響は無視できない。内容は、劉備玄徳や孔明といった蜀漢の英雄中心の展開で、対する魏の曹操は悪役的に描かれている傾向にある。中国国内でも、曹操はマイナスイメージの強い史書や伝承があるといわれる。2009年の曹操高陵発見は、従来の三国志関連の曹操像を変える新たな研究が進むだろう。

■戦いの時代…、様々な武器も展示

 魏、蜀、呉の三国時代は、戦いの時代ともいわれただけに、本展では様々な武器が展示されている。行軍や輸送を妨害する「撒菱(まきびし)」や強力な飛び道具だった「弩(ど)」など。水上戦で使用される弩の集中攻撃を再現する特殊展示は迫力がある。これらが立体的なイメージ展示でリアルに迫ってくる。攻撃力を高めるため、また防具として、当時様々な工夫がなされていた。また劉備の義兄弟・関羽の鎧をまとった青銅像。張飛の大酒豪ぶりは有名で、その酒乱の様子を描いた壁画(部分)「張飛、督郵を鞭打つ」など、愛好家を引き付ける三国志ワールド特別展だ。

  • 会 期:2019年9月16日(月・祝)まで開催中
  • 休館日:月曜日、※ただし8月12日、9月16日は開館
  • 開 館:9:30~17:00 ※金・土曜は午後9時まで(入館は閉館の30分前まで)
  • 入館料:一般1,600円(学生割引等あり、中学生以下無料)
  • アクセス:JR上野駅下車(公園口)徒歩10分
  • お問い合わせ:03−5777−8600(ハローダイヤル)