「古代エジプト展」でファラオの世界へ

「Go To…」で観光地や繁華街でのコロナ拡散が問題になっているが、一方で美術館や博物館への“美の訪問”が静かな動きをみせている。
展示施設の多くがソーシャル・ディスタンスを保ち、安全な環境で、イベントや芸術作品を鑑賞できる状況が認識されつつある。各施設とも入場制限、オンライン予約制をはじめ衛生管理や3密対策を励行している。
今回のアーツワールドでは、4月11日から一斉に展示開始となった東京都内の美術館・博物館4館の展示をガイドする。

“歴女”も目を輝かす名刀並ぶ

江戸東京博物館「古代エジプト展 天地創造の神話ー国立ベルリン・エジプト博物館所蔵」が開催中(〜2021年4月4日)。

古代エジプト文化と歴史的遺産は世界中の人々にいつも人気がある。
江戸東京博物館は、ロンドン・大英博物館、パリ・ルーヴル美術館と共に膨大なコレクションを有するベルリン・エジプト博物館の所蔵品が展示されている。
同館のコレクションは、17世紀のブランデンブルク選帝侯の所蔵品を発端に、プロイセン王などの支援で大量のコレクションとなった。特にパピルスコレクションは有名。 今回はエジプト神話を題材にして「天地創造と神々の世界」「ファラオと宇宙の秩序」などのテーマ設定で、解りやすい展示となっている。

三井記念美術館では『コレクション特別展 国宝の名刀「日向政宗」と武将の美』が開催中(〜2021年1月27日)。
“歴女ブーム”のツールは、大名や武将の愛用した甲冑、武器、茶道具などがあるが、やはり刀剣類は愛好家の間で第一の話題となる。
国宝「日向正宗」、徳川家康所持の国宝の短刀「名物 徳善院貞宗(とくぜんいんさだむね)」の国宝2点、重要文化財7点(加藤清正が所持した「号加藤国広」はじめ)を含む三井記念美術館所蔵の名刀すべてが出品されている。
三井家は、江戸時代に徳川家の御用商人として全国で活躍、明治以降は財閥として発展していた。その当時、全国の公家や大名、有力な武家から購入したり贈与された武装具・刀剣類が伝えられた。今回は、同館としては初公開となる展示品も多く含まれているという。

ベルナール・ビュフェの大作も…

山種美術館では「特別展・東山魁夷と四季の日本画」が開催中(〜2021年1月4日)。
東山魁夷(1908〜1999)の作品展は各地で、大規模な内容で開催されている。
今回は「四季」と「風景」をテーマに、さらに魁夷の師・河合玉堂や結城素明のほか山口蓬春、杉山寧らの秀作を同時に展示。
魁夷は横浜生まれ、東京美術学校で日本画を学んだ後、ドイツに留学、戦後は北欧にも滞在、風景画として名作を残した。《満ち来る潮》や《年暮る》などの作品はよく知られている。
連作「京洛四季」のように移りゆく日本の四季を常に叙情豊かに描いている。皇居官殿の装飾を山口蓬春らと共に手がけたことも知られている。

 

B u nka m uraザ・ミュージアム「ベルナール・ビュフェ 回顧展(私が生きた時代)」が開催中(〜2021年1月24日)。
ベルナール・ビュフェ(1928〜1999)は、戦後の抽象画が世界的に勢いを増す中で、具象画に打ち込み、一つの流れを作った。
ランスで制作した作品にはサルトルの実存主義やカミュの不条理の思想が色濃く反映されている、という。レジオン・ドヌール勲章も受章している。
今回は、ベルナール・ビュフェ美術館(静岡)が所蔵する油彩を中心とする展示会で、大作《ドン・キホーテと風車》や《夜会服のアナベル》《小さなミミズク》などが出品されている。