「第三者委員会報告・格付け委」全員が最低評価

毎月勤労統計(厚労省)の不適正調査を、厳しく批判

 官民の第三者委員会活動を厳しく検証・評価することで注目されている「第三者委員会報告書格付け委員会」(委員長、久保利英明弁護士。以後、「格付け委」)が、3月9日、厚労省の「毎月勤務統計」不適正調査の格付け結果を公表した。

厚労省の「毎月勤労統計」について、検証結果を発表する
「第三者委員会報告書格付け委員会」の各委員

■委員構成の独立性、中立性など検証

 不適正指摘は、1月16日、厚労省に設置された特別監察委員会=以後、監察委(樋口美雄委員長=労働政策研究・研修機構理事長)に対するもの。監察委による1月22日付け第一次報告及び同月27日付け追加報告書の2通に対するもので、両者を一体のものとして扱っている。

 「格付け委」が検証・分析の対象としたのは、▷委員構成の独立性、中立性、専門性▷調査期間と調査体制の十分性▷調査スコープの的確性、十分性▷事実認定の正確性、深度、説得力―などについて。

 日本記者クラブ(東京)で開かれた会見では、久保利委員長が冒頭に発言。「何のための第三者委員会報告なのか。この調査では全く意味がない。」と強い口調で批判した。同席した各委員は、それぞれの立場から評価を発表、説明したが、「第三者性に欠ける」「信用できない」など、厳しい指摘が続いた。「厚労省による組織的隠ぺいは認められない」とする監察委報告に対し、「第三者委員会報告書の重要な役割であるファクトの提供が、決定的に不足している」と批判。また、「監察委の樋口委員長が理事長を務める機構は、国から年間数十億円とみられる補助金をもらっている」として、独立性を問題視している。

■特段に低いスコア「F」評価が…

 格付け委は、2014年設立、学者、弁護士、ジャーナリストら有志で構成。日本弁護士連合会の第三者委ガイドライン作成に関わったメンバーが中心。最終的にまとめられる評価は、「A~D」まで4段階のランク付けが基本パターンだが、特段に低い評価スコアは(「E」よりさらに下位の)「F」を設け、不合格とする。

 9日の記者発表は、「格付け委」の結論として、委員9人が、いずれも「F」をつけた。「(厚労省として)新たな調査委員会を組成して、調査をやり直す必要がある。」としている。「格付け委」は、2014年5月発足以降、官民の計20組織について評価ランクをつけてきたが、今までオール「F」ランクは1回だけ。今回の「毎月勤労統計」の不適正調査は、オール「F」の2回目。

◆格付け委員会メンバーは以下の通り

▷委員長:久保利英明▷副委員長:國廣正▷事務局長:竹内朗▷齊藤誠▷塚原政秀▷行方洋一▷野村修也▷八田進二▷松永和紀

本件での各委員の評価スコアは、いずれも「F」だった。

同格付け委員会の久保利英明委員長(中央)