12月から「国家公務員倫理月間」

 昨年度に続き、今年度も12月の1カ月間「国家公務員倫理月間」がスタートする。
国家公務員倫理審査会が実施する主な内容は、

  1. 同審査会会長らによる動画メッセージ
  2. 幹部職員らを対象としたWeb倫理講演会
  3.  一般職員向けの各種教材の作成・配布
  4.   地方公共団体、経済団体等への広報活動など

 倫理意識の教宣活動は重要テーマでありながら、その浸透・普及にはまだ充分でないとの指摘もあり、地道な取り組みが求められている。

職場に浸透しやすい情報発信

 今年は国家公務員倫理審査会会長らによる動画形式のメッセージなど、新しい工夫が盛り込まれたり、職員応募の標語を視覚化したポスター作成など、職場に溶け込み、浸透しやすい情報発信を心掛けているのが特色。

 国家公務員、地方公務員等による不祥事の種類は多様だが、目立つのは贈収賄事件に対する世論の厳しい視線だ。不祥事の中でも「官」と「民」の関係が明確な図式となってくるだけに、民間企業中心のコンプライアンス意識も、改めて問われている。

 同審査会では毎年、標語を募集し優秀作品を選定している。今年度は8,856点(昨年度は6,666点)の応募があった。最優秀は「『これぐらい』思う気持ちに距離をとれ」、公務員としての基本的な心構えが見事に盛り込まれた秀作。標語はポスター(写真)に採用された。次点の2編「倫理とは知識と意識と心がけ」「間違いを正す勇気で得る信頼」。いずれも民間企業でも活用できる表現だ。
 ちなみに民間でも、経営倫理、コンプライアンスの意識浸透の取り組みは、毎年10月の「経営倫理月間」(日本経団連提唱)中心に展開している。特に職場での教宣活動は活発で、教宣ツール工夫展なども開催されている。企業や業界独自の狙いが込められているが、例えば「コン活、活発に…」(コン活=コンプライアンス活動)などでアピールしたり、また卓上用の紙製三角錐(標語入り)も好評だった。

今年は「審査会」創立21年目

 国家公務員倫理審査会は、昨年(令和1年)創立20周年を迎えている。1999年(平成11年)8月、国家公務員倫理法が施行され、その10条に基づいて人事院に同審査会が設立されている。20周年の節目として、昨年12月「倫理に関するシンポジウム」をイイノホールで開催、注目された。
 裁量労働制の不適正データによる予算修正、中央省庁での障害者雇用の水増し、東京医大裏口入学に絡む文部科学省幹部の汚職事件などもあり、シンポジウムでは公務員のあり方を巡って若手職員の取り組みや識者によるパネルディスカッションが行われた。
 今年は発足21年目にあたり、国家公務員の倫理教育も新たな段階に入った。新型コロナ・シフト下でも停滞の許されぬ重要課題だけに、今後の取り組みが注目される。