「『ワースト10』2021」発表、戦略セミナー開く
ACBEEオンライン戦略セミナー第1弾「『ワースト10(2021)』経営倫理動向を読み解く」が2022年1月18日、オンライン配信(Zoomミーティング)で開催された。最近の不正・不祥事の傾向を深く読み解き、背景や構造的問題を分析しながら、防止策を探った。
第1部で、ACBEE総合企画委員の近藤恵美氏が「ワースト10(2021)」アンケートの概要や回答者の属性などについて説明し、ワースト10位から1位まで順々に紹介した。
第2部では、共同通信社で経済ニュース元編集長(囲碁・将棋部長)の渡部道雄氏が、企業不祥事について長年取材してきた経験を交えながら、一つ一つ解説を加えていった。
私大ブランドにダメージ

1位「日本大学」では、「企業不祥事はカリスマ経営者の暴走が招くことが多いが、日大の場合は、暴走どころではなく、巨悪の手口という批判が出ている。田中英寿元理事長は周りをイエスマンで固め、私物化してしまった」と指弾した。
2位「みずほ銀行/ファイナンシャルグループ」では、日本興業、富士、第一勧業の三つの巨大メガバンクが2000年に経営統合してできたが、システムは統合されなかったのが主因と指摘。3行それぞれが古い体質で〝タコつぼ化〟、人事抗争などがマイナス要因になったとする報道が続いた。
4位「三菱電機」では、ここ数年不正・不祥事が続いていると説明。「上司と部下の上下関係が厳しすぎ、モノが言えない企業風土で、情報流出も多い。組織の一部の経年劣化が目に余る」と指摘した。
また今回、6位「経済産業省」をはじめ公務員の不祥事が目立ったが、「人材、組織の劣化が激しい。監督しきれない上司もいかがなものか」と話した。

企業の信頼性喪失は一瞬…
渡部氏は最後に、「企業が信頼を得るには長年かかるが、失うのは一瞬。企業不祥事は社会が認めない。トップを選ぶときは、〝茶坊主〟的ではなく、実力があり、先行きを見通せ、風通しを良くすることを分かっている人でなくてはいけない」と強調した。
いま情報社会で注目されているのが世論動向調査。政治・経済・社会など各分野で国民の声を敏速かつ正確に把握するための調査。
12年続くコンプラ動向調査
ACBEEの「ワースト10」アンケート調査は毎年末実施、今回で12回となる。年末アンケートは「ベスト10」ものが中心だが、その中で「ワースト10」はコンプライアンス動向という特別テーマだけに注目されている。
アンケート対象者:経営倫理士という専門家集団に限定化しているのが特色。このリサーチで経営倫理士の存在価値が認識されている。
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