新理事長に潜道文子氏(拓大副学長) 第10回総会開く

元号が平成から令和に変わった6月20日、特定非営利活動法人・日本経営倫理士協会(ACBEE)の令和元年度の通常総会が東京・赤坂の経営倫理実践センター(BERC)で開催された。創立から22年、NPO法人となってから第10回となる通常総会で、昨年度まで22期にわたり巣立った経営倫理士は664人を数える。総会では小熊征人理事長に代わり、新理事長に拓殖大学副学長の潜道文子理事が選ばれ、創設者の故水谷雅一氏の薫陶を受けた新理事長のもと新たなスタートを切った。

日本経営倫理士協会が第10回総会開く

第10期の事業報告・活動計算書などを承認

 総会は勝部誠理事の総合司会により進行、体調を崩して欠席した小熊理事長の代行・議長として、千賀瑛一専務理事が審議事項3議案(第10期の事業報告・活動計算書・役員選任)、報告事項2件(第11期の活動方針・同予算書)を報告、いずれも承認された。

  平成30年度の事業報告として、第1期の中期5カ年経営計画(2014~2018年度)を総括、前段で事業の柱となる総合講座受講者の一定量目標である年度50人獲得が28~35人程度の推移にとどまっていることから、第2期では初級講座の20人/年と合わせ営業活動の強化、経営倫理士資格取得講座の改革・強化など、6つの戦略プロジェクトを立ち上げることとした。

1.資格取得講座事業による資格取得者は計664人に

総合コースが22期(全14回17テーマ、5~11月)を終了、35人の誕生をみた。これまでの経営倫理士総数は664人となった。タイムリーな課題として新たに3テーマに3講師を導入。杉野隆講師「企業リスクと情報セキュリティー」、平野琢講師「産業事故の防止と技術者倫理」、それに両角晃一講師による「インターネット時代のメディアリテラシー」を講義していただいた。さらに、資格認定の最後の関門となる面接試験は、前年度より1人当たりの面接時間を倍増し、2日間かけて総合判断する方式を採用。

受講者獲得の新たな試みとして設定した講座の「1コマトライアル」(受講料1万円)で受講者が延べ20人に急増した。平成21年8月からスタート、WEBによるテキスト配信の通信コースの初級講座は3年目の第7-10期が終了、認定登録者は9人。初級講座から本コースの総合講座への受講も今期は4人おり、全員が資格を取得している。

2.教育研究事業に自主グループが輩出

後を絶たない不祥事・不正事案で、国も「内部通報制度」の浸透・定着を推進するため制度に関する認証検討会を発足させた。座長は当協会の講座講師も務める経営倫理学会副会長の水尾順一駿河台大学名誉教授。11月開催した第9回特別シンポジウム2018では「世界が注目する『内部通報制度の要諦』」のテーマで基調講演、時宜にあった内容の濃いシンポジウムに一般も含めて約百人が参加した。また、企業などのコンプライアンス講習(研修セミナー)への講師派遣も増加しており、組織内の教育・研修に協力している。

特筆されるのは経営倫理士取得者(修了生)ら有志による自主的な研究会活動。19期では同期会として会員加入促進への提言、20期は「第三者委員会レポートをどう読むか」のテーマで、 四半期ごとに特別研究会を継続している。また、2017年12月に発足した21期の「21会」は年4回、経営倫理の諸テーマに対し総合的な能力を磨くことなどを目標に発足、発表者が交代で講義、議論しながら情報共有を図っている。22期も有志で勉強会発足の動きがある。

3.インターネット活用でホームページをリニューアル

ACBEEの多岐にわたる情報発信の中でも、「企業不祥事などのコンプライアンス動向」記は注目されるようになってきた。ほぼ3カ月ごとに、さまざまな角度から収集、リストアップされた不祥事、不正の実態と分析の記事は、各企業担当者らの関心も強く、評価も高い。経営倫理士200人にアンケートで選ばれる年間「企業不祥事ワースト10」を1冊にまとめたムック(MOOK ACBEE)があるが、2010年から9年目と版を重ねている。

かねて紙媒体の季刊誌「経営倫理フォーラム」を中心に事業と活動を伝えてきたが、2014年からスタートしたインターネットによるホームページのWEBでの展開をさらに拡充、サイトのセキュリティーを確保しながら情報展開に即応性と柔軟性を持たせている。2018年から1年掛けてシステム仕様、 コンテンツなどの検討を専門事業者と行ってきた。今春からホームページのリニューアルを行い、ACBEEの新しい情報発信媒体として強化された。

4.その他目的を達成するために必要な事業

挨拶する潜道文子新理事長

2017年度に続き東京交通短大(松岡弘樹学長、豊島区池袋)での夏学期授業へ経営倫理士13人が非常勤講師として参加、「ビジネス倫理」(2単位)のシラバスで13テーマを講義した。受講生数も前年度は30人だったのが、18年度は45人が受講した、と報告を受けている。大学側は新しい講義のあり方として注目、学生の関心も高まった。

役員任期満了(第9~10期の2年間)に伴う新役員選任では、再任13名、退任2名と新たに就任する理事1名が選任された。新任の理事長に潜道文子氏が選任されたほか、新たな理事に日本経営倫理学会副会長の水尾順一氏が就任した。

第11期(令和元年度)の活動の重点に挙げられたのは、①第2期中期5カ年経営計画(2019~2023年度)の着実な実現を目指す②特に令和2年度以降の受講者増に前向きに取り組む③財政強化のため、新たな収入源についても工夫する④資格取得者が700人に迫り、そのアフターケアが新たな課題となる―などで、いずれも了承された。

なお、本協会への寄付行為として、常務理事の松平和也氏(システムフロンティア名誉会長)から100万円が寄せられたことが報告された。協会として受領することが承認され、令和元年度の活動予算に計上された。

議事の最後にあいさつに立った潜道新理事長(写真)は、大学院の学生時代に指導教官を介して協会創設者の水谷雅一氏(故人)との出会いがあり、その人となりと思想、著書に触れたエピソードを紹介した。「これから企業・社会は目先の利益を満たすだけではなく、企業価値を高める戦略としても経営倫理が非常に大事で、基盤のしっかりした企業でなければ生き残れない。一人でも多くの人に伝え、理解してもらう活動に私も仲間に入れていただきたい。水谷先生が創設された3つの団体の一つとして3者間の協力を強め、情報共有して三位一体の形で進めていけたら、と思う」と語った。

(リポート:ACBEE編集委員 青木信一)