日本パラリンピック・鳥原会長が会見 多様性を尊重する社会を… 

千賀 瑛一  日本経営倫理士協会専務理事
(日本記者クラブ会員)

 鳥原光憲・日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)会長が2021年9月17日、日本記者クラブでオンライン会見を行い、緊急事態宣言下で行われた東京大会を振り返った。
 同会長が「競技にベストを尽くした選手らの姿を見て、多くの人々が多様性を尊重する社会への気付きを持ってくれたことに大きな意義がある。共生社会のスソ野を拡げる効果はあった、と感じている」と話した。

鳥原光憲・日本パラリンピック委員会会長(写真下も)
日本記者クラブ会見<オンライン開催>=9月17日

緊急事態宣言下での対応に苦慮

 今回のパラリンピックでは、金メダルが13、銀15、銅23という輝かしい実績を上げた。メダル数の比較だけをみてもリオ大会の2倍、ロンドン大会の3倍を超える成績。さらに今回から導入された車いすバスケットでは、決勝進出を果たし、高い評価を得たことにも触れた。しかし会見では、やはりコロナによる緊急事態宣言下での大会運営に最大のケアーを払った点を強調していた。

 政府をはじめ関係各組織が連携して、初期段階から万全の対策をとった。入国者対応や観客制限など、広範な対策や工夫をして感染拡大を防いだ、という。
その一方でコロナに対する不安は根強く、大会を中止すべきではないかーという声はあった。これを乗り切ったのは、関係者一同の連帯、開催国としての責任、アスリートに対するサポート・思いやりであったと強く述べた。

 会見のこの場面では、鳥原会長は「パラリンピック開催の意義を疑問視する声は出た。しかし、コロナ禍を克服しつつ競技会に参加したアスリートたちのことを理解してほしい」と述懐している。

企業、地域の理解深まる

 最後に「パラリンピックでは、競技への参加、視聴によって多様性を尊重することへの気付きが芽生えている。特にメディアによる情報発信も高まり、パラスポーツは身近なものになってきた。子供たちの理解も進み、教育面でも普及・浸透することが期待されている。さらに企業や地域の理解が深まり、障害者との共生社会の実現を促していかなければならない。健常者のスポーツに比べて障害者スポーツは参加者も施設も大幅に少ない。パラスポーツの拡がりによって共生社会を目指す意識改革こそが大切」と話した。