千賀 瑛一 日本経営倫理士協会専務理事
(日本記者クラブ会員)
新浪サントリーHD代表取締役社長が会見

日本記者クラブ会見=2月4日
新浪剛史サントリーHD代表取締役社長が、2022年2月4日、日本記者クラブで会見(Web)、日本的経営のあり方や今後の課題、さらには世界的な経営戦略について大胆な視点から解説した。
会見は、日本記者クラブ企画「2022年経済見通し」シリーズの最終回(7回目)、同シリーズでは大学教授、著名エコノミストらが専門的な講演をしているが、新浪氏は企業の最高経営責任者の立場から混迷が続く世界経済の方向をより具体的に解説、注目された。
講演では社会保障制度の充実、労働力の確保、女性活躍推進など多様なテーマをとり上げた。新浪氏は経済財政諮問会議の議員など、行政の委員を数多く経験しているだけに、国家戦略や行政の最新動向などについて踏み込んだ解説を続けた。
人材確保に新しい視点を…
今回の講演では、企業の最高責任者の選出についても言及した。経営陣が、プロパー集団であっては、荒波を乗り越えるのは難しい。人材確保に新しい視点が必要である、と強調した。
組織内部で認められた人だけでは限界があるとも指摘。企業の人的投資こそは生産性向上につながる、としている。「アレも駄目…、コレも駄目…」では困る。誰でもが前向きに取り組むことの出来るようにする。いま多様性ある人材が必要だと話した。

新浪氏は、昨年、企業の45歳定年制導入について提言、大変注目された。同日の講演でも、いま企業は人材の確保に新しい視点を持つべきーと強く訴えた。企業の活力をいかにいかすか、そこに企業の価値を見出すべきと提言した。
労働力が縮小している中、一方で若手のチャレンジが増えている。後押しをしなければいけない。人材確保の強化で、企業の力強いバランスが生まれ相乗効果も出てくる。講演の後半では新浪流の人材論を熱っぽく語ったのが印象的だった。
労働コストの問題では最低賃金について触れ、生産性との関連が重要であると指摘。また値上げ動向や価格転嫁のあり方を注視すべきと解説した。アメリカのニューディールを例にあげ、経済成長の基本は民間が中心になって推進すべきである。政治の停滞は避けるべきで財政面での出遅れがあってはならない。また現在、政治、経済面中心にグローバル的に不安定な状況になっている点も重要と話した。
何を目指すか…日本の力を示す時
さらに、ただ豊かさだけを求めるのではなく、どのような社会を作るのかを訴える必要があるとも話した。経済成長に合わせて分配論が出ているが、「分配」に続く「再生」がなければならない。何を目指すかが問われた時、日本の力を示す示すべきである、と解説した。
また今後の経済情勢に関しては穏やかなインフレ懸念と、アメリカの動向などをリスク要因として注視しなければならない、としている。
以上