(24)経営倫理浸透のために

ACBEE総合企画委員 新 勝幸(ローソン)

 私が大学3年生の秋、東京六大学の学生約600人が東京郊外にあるレジャー施設の屋外プールに集まり寒中水泳をした。それは、あるテレビ番組の国内予選会で、私もその中の1人だった。その国内予選を勝ち抜いた30人の大学生は海外を巡り各地でガマン比べをし、決勝まで勝ち残った3人が断食ガマンをして優勝者を決定するという内容の番組だ。

■泳ぎ続けて地獄の海外ガマン比べ

 予選は、プールの壁面に2本の金属パイプが人の足首が入るくらいの間を空けて横方向にぐるりと設置され、そこに両足首を入れて背泳ぎをする。途中から顔面に大量の粉末コショウが散布され、どこまでガマンして泳ぎ続けることができるかという競技だった。私は、この予選を無事突破し、台湾(海中フルーツ逆さ喰い 、逆さ吊り・海ヘビ・ゴキブリ攻め)→香港(絶叫ムチ・ヘビ・棒地獄、水攻め大樽地獄)→バンコク(ゲテモノ喰い地獄、人間ねはん像炎のリンボー地獄)→シンガポール(オランウータン全方位攻め、恐怖のワニ&大ヘビ攻め)→ジャカルタ(コモドドラゴンの恐襲、絶叫!人間耕運機)と勝ち進み、決勝の地であるバリ島まで行き、準優勝することができた(写真は準優勝トロフィー)

■実はテレビの視聴者ウケ狙い

 私がこのような過酷なガマン比べに耐えて決勝まで行くことができたのは、学生時代にハードなトレーニングを続けた結果、強靭(きょうじん)な肉体と精神力が備わっていたおかげだと思うが、それは予選を突破するための条件でしかなかった。番組の目的は、面白い内容にして良い視聴率をとることだ。ロケ前に番組スタッフからは、「これは町内のガマン大会ではないので、面白くない奴は先に進むことができない」とくぎを刺されていた。どんなにガマン強くても、視聴者ウケしなければ次の競技には進めないということだ。私は、予選を通過した30人の中でウケの良い3人に選ばれただけのことだった。

■いまだ旧態依然の意識レベルに

 もし今、番組の内容を面白くするために同じような手法を使ったなら、やらせ番組としてとしてマスコミからたたかれ、さらに放送倫理違反と認定されてテレビ局社長のおわび会見にまで発展することは間違いないだろう。この例からもわかるように、経営倫理に対する世間の意識は一昔前に比べ確実に厳しいものになっている。最近、某バラエティー番組企画のやらせ疑惑が世間を騒がせている。経営倫理を実践する企業の側は、いまだに旧態依然の意識レベルである場合が少なからずある。日本経営倫理士協会(ACBEE)は、諸組織団体・一般市民の健全な経営倫理の育成と普及、経営倫理活動推進者の育成を目指し、日本の産業、経済の発展に寄与することを目的としている。この目的達成に向け、私は経営倫理士として、これからも日々自己研鑽(さん)のトレーニングを続け、経営倫理の浸透のために活動していこうと思う。