第23期経営倫理士講座 第4回⑤講義レポート

講師:津田 登  
講師所属等:日本経営倫理士協会理事/NTN社外取締役/前三菱ケミカルホールディングス代表取締役副社長執行役員
講義テーマ:「内部統制(会社法)整備・運用の進め方」

内部統制の根本理解とシステムの形骸化を防ぐ

 第4回講義⑤は6月12日、津田登氏(日本経営倫理士協会理事/NTN社外取締役/前三菱ケミカルホールディングス代表取締役副社長執行役員・チーフコンプライアンスオフィサー)による「内部統制(会社法)整備・運用の進め方」。

リスク管理のシステムは数年で形骸化すると語る
津田登講師

■2つの仮説に立って検証する

 社内での経験、取り組みを中心に事例の引用を交えて解説がなされ大変理解しやすい展開であった。最初に、本講義の軸として次の2点を提示された。

1.システムづくりが優先され内部統制の根本が理解されていないのではないか?
(まずは経営層から)内部統制について再認識し、認識の共有化を今一度行うこと。
2.システムが適切に運用されていないのでは?
システムの生きた運用と形骸化防止策を常に行うこと(リスク=リスク管理システム。形骸化するリスクであり、2~3年で形骸化する)。

-----◇----- 検 証 -----◇-----◇-----◇-----◇-----◇-----

1.経営陣に内部統制に関する責任を認識/再認識させる
 D銀行NY巨額損失事件 (『企業不祥事ワースト10』MOOK ACBEEより)を例示し、判決抜粋、社長会資料を用い、内部統制整備についてのそれぞれの役割(責任)を、三権分立にたとえ、立法=取締役:システム整備、運用監督責任、行政=業務執行役:システム整備、運用、司法=監査役:監査と表現された。経営陣への研修事例や会社トップからの注意喚起、自社・他社事例を踏まえた点検の指示など、実施された認識方法について紹介されたあと、内部統制の基本として、
 内部統制=目的実現のため組織をうまく機能させること
 内部統制の根幹=基本単位組織が組織として機能していること
 組織=人+コミュニケーション+リーダーシップ(組織たらしめる条件)
 内部統制の前提=組織リーダーのマネジメント力の強化
を挙げられた。

2.内部統制システムの生きた運用と形骸化防止策
(1)生きた運用事例:米国MS社海外腐敗防止法事案
 ①周知徹底=対象に応じた頻繁な教育、注意喚起の発言、誓約書、個人ごとの記録
      ≠掲示板への掲示
 ②関係規則の定期的なアップデート
 ③モニタリングと監査
(2)コンプライアンス不正をなくすために(3要素のコントロール)
 ①不正の機会を少なくする試み
 ②モラルアップ=幹部の率先垂範
 ③プレッシャーになりすぎていないかのチェック

■5つの着眼点と心得

これらのまとめとして、次の5点の言葉(着眼点)を挙げられた。
1.単位組織のマネジメントが基本ということを忘れるな
 ・管理者のリーダーシップ
 ・上位者の責務(1層下の評価=2層下の人との意見交換)
2.システムは2~3年で形骸化するものと心得よ 参照)リスク洗い出し制度
 ・ヒヤリングと監査の重要性 カンフル剤(以下の3)
3.「他山の石」方式=具体的かつタイムリーな事例による点検を活用すべし
4.経営層に自らリスクを考えさせよ(経営層の危機意識の強化を怠らない)
5.良い内部統制が良い経営者を生む&よい経営者が良い内部統制を作る=両者に不断に働きかけることが必要

               (講義リポート:総合企画委員 殿原 鉄也)