第23期経営倫理士講座 第4回⑥講義レポート

講師:野中 高広 
講師所属等:DLAパイパー東京パートナーシップ(法律事務所)弁護士
講義テーマ:「ハラスメントによる企業リスクの増大」

3ハラスメントの事例をグループ単位で検討、発表

 第4回講義⑥は6月12日、津田登氏の講義⑤に続き弁護士の野中高広氏による「ハラスメントによる企業リスクの増大」。ハラスメント対応の重要性、基本的対応の解説の後、パワハラ、セクハラ、マタハラ各ハラスメントの9事例をじっくり検討するという、事例中心の形で進められた。

ハラスメント対応の重要性を語る野中高広講師

■大きい精神的ダメージも

 企業のリスクとして使用者責任、安全配慮義務違反などを問われることもある。かかわった人々(加害者、被害者、そして担当者も含む)の精神的ダメージも大きく、メンタルヘルスの問題に移行することもある。職場の士気低下、生産性低下、そして、レピュテーションリスク(企業ブランド、イメージの低下)を挙げられた。基本的対応を、平時と緊急対応時に分けて例示された。

■前半の解説を具体化する事例検討

 パワハラ、セクハラ、マタハラの各ハラスメント3例について合計9事例についてグループ単位で検討し、発表した。前半の解説が具体化され、大変理解しやすい展開であった。以下9事例検討の中から各1例を要約して紹介する。

<パワハラ事例>
 中途採用の営業部長には5名の部下がいる。前期業績が悪く、毎週月曜日に会議を実施している。時に説教、細部の指摘や叱責が2時間以上続くこともある。指導は長年の経験理論により行っているが、同行指導することはない。また、時に夜間や休日にもメールで部下に報告を求める一方、本人の日程は公開せず、連絡のつかないことが多い状況。そして、部下の1人が精神的な疲労により1週間休むこととなった。

<セクハラ事例>
 妻子ある営業部長は、取引先の独身女性Bを含む複数名で何度か食事に行っていた。しかし、BとLINE交換後は2人で映画、夕食へ、急激に関係が縮まったものと感じ、より頻繁にLINEでのやり取りをする。後日、夕食後に移動のタクシー内でキスをした。特にLINEでもBからの苦情はなかったが、頻度は非常に減った。その後、何度か食事に誘うLINEを送ったところ、Bから会社総務に苦情の電話が入った。

<マタハラ事例>
 女性社員(妊娠中)が上司から業務上のミスを強い口調で注意され、トイレに逃げ込んだあと早退したことがあった。後日、他の女性社員と妊娠中の体調などについて雑談中、上司が割り込み、「腹ぼて」「胸が大きくなった」という発言をした。これらの行為に対し、会社はこの上司を譴責処分(懲戒処分)とした。女性社員は、被った精神的損害の賠償を会社に求めた。

               (講義リポート:総合企画委員 殿原 鉄也)