第23期経営倫理士講座 第8回⑪講義レポート

講師:寺原 真希子
講師所属等:弁護士(日本・ニューヨーク)/弁護士法人 東京表参道法律事務所 共同代表
講義テーマ:「LGBTと企業の対応」

7つのテーマに沿って内容濃いケーススタディー

 講座第8回はLGBT支援法律家ネットワークと日弁連の「LGBTの権利に関するプロジェクトチーム」メンバーでもあり、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の人権と、広く社会や企業での理解と意識改革を求めて活動を続けている寺原講師による講義。2016年7月に東京で開催されたACBEE20周年特別シンポジウムにもパネリストとして参加、メインテーマの「いま、働く場で考え取り組むことは~『LGBT』と企業の対応」について、法律家の立場から企業・職場にもダイバーシティ(多様性)の考え方が必要と訴える。

社会の動向から具体的な取り組みまで

法律家として現在のLGBTを取り巻く社会環境と
必要な取り組みを分かり易く講義された寺原真希子講師

  講義のテーマとして、
Ⅰ.社会の動向
Ⅱ.用語・概念
Ⅲ.LGBTを取り巻く環境
Ⅳ.法制度
Ⅴ.企業による取り組みの必 要性
Ⅵ.ケーススタディー
Ⅶ.具体的な取り組み項目
を挙げられた。

 まず社会の動向として、2017年5月に経団連が発表した「ダ イバーシティ・インクルージョン社会の実現へ向けて」の中で、実現する上で重要なファクターの一つであるLGBT(性的マイノリティ)について触れた。また、2014年「CSR企業総論」においてLGBTに関する項目が追加され、2017年2月に公表した「ダイバーシティと働き方に関するアンケート調査結果」で、LGBTへの対応施策の実施企業が全体の34.7%であることを解説された。

 用語・概念として、「性」のファクターとして①戸籍上の性別、②身体的性別(生物学的性別):体の性別、③性同一性(性自認):心の性別、④性的指向:好きになる性別、LGBT、セクシュアル・マイノリティ、SOGI(ソジ)を挙げられた。

■差別や偏見の根深さと法制度、企業の動向

 LGBTを取り巻く環境として、具体的な調査結果や数字から数的割合【8.9%/11人に1人(2018年電通調査)】、自覚時期【性同一障害:中学生までが89.7%、同性愛:平均13.1歳】に加えて、日本はLGBTに寛容であるか、差別や偏見の根深さについて、当事者の声などを織り交ぜながら、分かり易く解説された。
 法制度として、2003年7月16日公布、2004年7月16日施行された性同一障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律を紹介し、併せて、海外の法制度や国連からの勧告にも触れながら、地方自治体による取り組み(差別禁止)についても解説された。
 企業による取り組みの必要性として、①個人(多様性)の尊重【憲法13条記載】、②訴訟リスクの回避、③社員から企業に対する信頼、④顧客等からの信頼を詳細に解説された。
 最後に、ケーススタディーとして、身近なケースを取り上げ法的な観点でも詳しく解説されながら、各種様々な事例を挙げるタイミングで、講師の先生より受講者に対して積極的に問題提起し、それに答える受講者側も真剣に自分の意見・考えを述べていた。 また、具体的な取り組み項目についても分かり易く解説された。

 17:20講義終了後の質疑応答時も具体的な質問が出て、活発な意見交換がなされ、17:40に無事終了した。講義全体を通して、講師の先生の分かり易い解説に加え、事例を多数挙げながら受講者へ問い掛けることにより、講師・受講者に一体感が生まれるとともに講義内容がしっかりと頭の中に入ってくる非常に内容の濃い、良い講義であったと感じた。

           (講義リポート:ACBEE総合企画委員 小倉 保典)