第23期経営倫理士講座 第10回⑭講義レポート

講師:名取 はにわ
講師所属等:学校法人日本社会事業大学 理事長/元 内閣府男女共同参画局長
講義テーマ:「ダイバーシティ経営と女性活躍」

多様性、女性から生まれる新たな財・サービス

 第10回⑭の講義テーマは「 ダイバーシティ経営と女性活躍 」。 ダイバーシティ、すなわち組織・社会を構成する個人の多様な属性のなかでもとりわけ根幹となる男女の相関性で、なお先進国においては低位とされる日本。そうした社会状況の打破を目指し、女性の地位向上のグループ活動から産声をあげて半世紀を超えるNPO法人「日本BPW連合会」の前理事長で、内閣府の男女共同参画局長も務めた名取講師により女性活躍社会への歩みと目指す活動の意義が語られた。

■日本でのダイバーシティ、特に女性に焦点

「女性の活躍と経済・社会の状況は正の相関関係」
と力説する名取はにわ講師

 冒頭、日本のダイバーシティ、とりわけ女性の活躍の現状に対して、今年6月のG20に来日したラガルトIMF専務理事(欧州中央銀行の次期総裁に内定)の「男女平等の重要性をまだ理解できない日本の男性経営者を洗脳したい」「女性活躍と経済成長は打ち消し合わず、互いに改善できる」との強いメッセージを紹介した。

 世界的に見れば、女性の活躍と経済・社会の状況は正の相関関係にあり、女性の労働参加が進めば生産性は上昇し、出生率も増加するとし、そこには国の政策が機能することが重要だとした。また、日本には世界が注目する237万人もの女性の就業希望者がおり、それはわが国最大の潜在力であり、労働力人口の増加だけではなく、埋もれている優秀な人材の確保、多様性から生まれる新たな財・サービスの創出が期待されると述べた。

■中学校公民の教科書にも掲載の男女共同参画社会基本法

 講師が総理府男女共同参画室長時代に手がけた男女共同参画社会基本法について、その前文で男女共同参画社会の実現を21世紀のわが国社会を決定する最重要課題と位置付けていること、第2条の「男女共同参画社会の形成」および「積極的改善措置」の定義とその意味・特徴、第3条から第7号の基本理念の特徴などについて説明した。

取り残される日本

 今年6月に開催されたG20大阪サミットの共同宣言には、「ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントは、持続可能で包摂的な経済成長に不可欠である」「紛争の予防及び解決において女性を認識することにコミットする」との文言が盛り込まれたことを紹介するとともに、世界から取り残される日本に対しての危機感を表明した。
 世界との比較については、世界経済フォーラムが公表している世界ジェンダーギャップ指数を紹介し、2018年は149カ国中110位と低位にある現状を、その算定根拠となる4項目のうち、政治的実力(125位)、経済的役割と機会(117位)、教育の到達(65位)について各種データを用いて解説した。

日本で女性が活躍するためには

 女性が活躍する上で、つまりダイバーシティを実現する上で、「両立支援策/ワーク・ライフ・バランス」と「ポジティブアクション」が必要であることを各種統計資料から解説した。また、女性活躍推進法については今年6月に改正され、事業主行動計画の策定義務の対象拡大、女性活躍に関する情報公表の強化、特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設がなされたことを説明した。
 最後に、NPO法人日本BPW連合会が取り組む「イコール・ペイ・デイ運動」などの動向について説明がなされた。

(講座リポート:ACBEE総合企画委員 清澤 誠)