問われるクライシス対応力 産・学・メディアが鋭い提言
2022年10月5日(水) 13:30~17:00 オンライン配信(Zoomミーティング)
「企業リスク」深刻化! クライシス対応力は
―大型不祥事 続発、背景と重点課題を探求
ACBEEシンポジウム『「企業リスク」深刻化!クライシス対応力は』が、2022年10月5日開かれた。オンライン配信で企業のコンプライアンス担当者ら約70人が視聴した。
コロナ下、3年目に入り日本産業界はさまざまな影響を受けつつあるが、ビジネス倫理動向は深刻化している。最近の不祥事は大型化、多様化、悪質化しており、影響と被害が一気に拡大する傾向にある。企業にとって直面するクライシス・マネジメントを重点課題としてアプローチするシンポジウム。
初めに日本経営倫理士協会・理事長 潜道文子氏(拓殖大学副学長)が開会挨拶。「ACBEEシンポジウムは、2009年スタートして13回目、組織の情報発信の柱として活動している。経営倫理動向を踏まえてテーマを設定、踏み込んだ講演、パネルディスカッションを行ってきた」と話した。
⦿産・学・メディアの専門家が解説
第1部と第2部に分かれ、第1部では
➀基調講演「近年の企業事件の傾向とクライシス・マネジメントのポイント」
…髙野 一彦 氏(日本経営倫理士協会理事、関西大学 社会安全学部・大学院社会安全研究科 教授 )
②パネリスト講演〈A〉「組織における管理者、実務者 それぞれのコンプライアンス倫理の留意点」
…渡邊潔氏(日本経営倫理士協会総合企画委員、前サカタのタネ法務部長)
③パネリスト講演〈B〉「メディア視点と危機管理視点」
…両角晃一氏(元テレビ朝日常務取締役、東北福祉大学客員教授、元ACBEE講師)
の3氏(=写真)が登壇。
ファシリテーターに北村和敏氏(ACBEE常務理事)(=写真)。

⦿「心理的安全性」のあり方など
第2部は講演3氏によるパネルディスカッション。3氏とも第1部での講演内容を踏まえ、さらに活発な議論を展開した。
髙野氏は、近年の企業不祥事動向を具体的に説明。「リスクに強い会社をどのように作るか」「クライシス発生時の経営判断の重要性」など解説したが、組織と人の「心理的安全性」のあり方についても触れ、注目された。
渡邊氏は、企業幹部としての現場体験を踏まえた実践的アプローチを展開、内部通報事案では「誰が通報したかではなく、何が通報されたかが重要」など話した。
両角氏は朝日新聞社、テレビ朝日などに勤務、不祥事発生時の企業とメディア即時対応などについて解説。またNASA(アメリカ航空宇宙局)の衛星爆発事故時の広報体制を評価。「事故発生直後のマスコミ対応で誠実さこそが重要とし、情報操作したり隠ぺいがあれば、必ず発覚する。その際のダメージは大きい」などとアドバイスした。
第2部の最後に髙野氏が課題指摘とまとめをしたが、3講師の共通した意見は「この重要テーマへの対応は〝研修〟こそが企業力を高める」だった。不祥事が続発、多様化する中で企業内での研修・教育の充実・浸透の重要性が改めて強くアピールされた。
ACBEEでは、現在、「経営倫理士資格講座(総合コース)第29期」の受講申し込みを受け付けている。講座は10月19日開講、約5か月間で20テーマを集中学習、「資格」を取得する。
今回のシンポジウムで中心テーマとなった「クライシス対応」では、グループワーク型のシュミレーションも組み込まれている。オンライン方式なので利便性は高く、勤務や通学での支障の際にも受講者対応(事前連絡などが必要)しやすくなっている。経営倫理士は発足25年間に770人を突破、民間ではトップレベルの認定資格として注目されている。
■お知らせ■
経営倫理フォーラム編集部では、上記報告書(ダイジェスト版)より詳細なレポート報告書を準備中。『第13回シンポジウム・報告書(概要)=MOOK ACBEE版』として、シンポ開催後の反響面も含め編集、近く発行される。ACBEE会員は会員ログインページからダウンロードできる。一般対象には有償配布の予定。ぜひ有効活用をお願いします。